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43 別室にて

Penulis: あさじなぎ
last update Terakhir Diperbarui: 2026-02-21 18:58:43

 祝宴のざわめきを背中にして、私は別室へと通される。

 そこは陛下の為の控室だろう。

 装飾は少なく、ふかふかそうな黒い皮の長椅子と机、それに絵画が飾られているだけの部屋。

 その部屋に入るなり、陛下は私の方をむいて言った。

「未だ犯人捜しをしているそうだな」

 その声にどんな感情が隠されているのか瞬時に考える。以前会話を交わした時、陛下は直接捜査を止めてこなかった。

 だが宮廷で起きた殺人事件はなかったことにされていて、捜査はされずそのままだ。私や殿下の動きを快く思ってはいないだろう。

 私は陛下の様子を伺いつつ、頷き言った。

「はい。その通りでございます」

「それで目星はついたのか?」

 挑発するような声音に嫌悪感を抱いてしまう。あんなに憧れ、おそばに仕えることに喜びを抱いていたはずなのに、今の私には皇帝陛下が何か異質なものに思えた。

 私は首を横に振り、

「まだです」

 と、嘘をつく。

 事件の背景にあるのは確実に皇帝陛下の女遊びだろう。

 後宮で生まれた子供以外は陛下の子供ではない。その論理の元、陛下は外に女性を作り何人もの子供の産ませている。

 その中に男子がいるから今回の
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     この胸の痛みは何だろうか。 そう思いつつ私は気弱そうな顔をしている殿下を見る。 先ほどまで招待客たちの前で凛と対応していた姿からは遠い姿だな。 ずっと気を張っていたのだろうか。 役割を演じなければいけない殿下。そう思うと心がすこしばかり痛くなる。 私が後宮に入る、ということは私は殿下と…… あらぬ想像をしてしまい、私は殿下から目をそらした。まだ後宮に入る、とは決めていないじゃないか。 そもそも私に、殿下の後宮に入る資格などないのだから。 私は皇帝陛下の寵愛を受けてきた。そんな私が殿下に愛されるなんてあってはならないだろう。 そう自分に言い聞かせて、私はゆっくりと立ち上がる。「シュエファさん」「は、はい、何でしょうか」 殿下は私を見上げ、ふっと笑い言った。「あの……その着物、本当に似合っています。貴方に贈ってよかったです」「あ……ありがとうございます」 言いながら私は自分の姿を改めて見る。 殿下に送っていただいた紺地の着物。陛下の前に行くならこれを着替えなければ。 汚されたくはないし。 私は殿下の前にひざまずき、その手を取って言った。「殿下、お誕生日おめでとうございます。あと一年、無事過ごせますように」 すると殿下は一瞬驚いた顔をした後複雑な表情を見せる。 そのあとぎこちなく笑い、「ありがとうございます、シュエファさん」 そう告げて、殿下は私の手をそっと握った。 私は立ち上がり、外へと目を向ける。「殿下、私は着替えをして外の見回りをしてまいりますので……お早めにお休みください」「そう、ですね。疲れましたし」 そう答えて殿下はすっと立ち上がる。 その時、殿下の身体がふらっと揺れ、私はとっさに手を出した。「あ……」 がしり、と身体を抱き留めると、殿下は苦笑して私を見上げた。「すみません。やはりお酒はほどほどにすべきですね」 と言い、私の身体にしがみ付く。 あまり酔っているようなら湯を浴びない方がいいかもしれないが、大丈夫だろうか。 私は殿下を抱き締めて尋ねた。「そのまま部屋に戻られますか?」「いいや、大丈夫。お風呂に入らないとちょっと気持ちが悪いし」 そう答えて笑う。 ならばこのまま風呂場まで送っていくか。「では参りましょう」「すみません、お手間ばかりかけてしまい」 そう情けなさそうに言

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     私は湯呑をじっと見つめる。 先ほど睨み付けられたのが気になるが、この状況で飲み物に何か仕込まれたとしたらあの女が疑われるだけだ。 大丈夫だろうか。 心臓が、バクバクと大きな音を立てているのがわかる。 これは私が飲み物を取りに行った方がいいか? それとも考え過ぎか。 「シュエファさん、どうかされましたか?」 不安げな声で言われ私はドキリ、として殿下の方を見た。 殿下は湯呑に手を伸ばそうともせず、私を見上げていた。 これはちゃんと伝えた方がいいだろうか。 一瞬悩み、私は殿下に感じている違和感について話すことにした。「先ほどの女官、あまり見かけない年代だったので」 そう私が言うと、殿下はあぁ、と呟き女官が出ていった扉の方を見た。「彼女は確か、林さんだったかと思います。巳の方の紹介で入ったかと。もう何年か経ちますよ」 と言い、私の方へと視線を向ける。 林という名前の巳の家が後見人の女性か。帰ったら資料を確認しなければ。 私が神妙な顔をしているせいか、殿下はずと不安な顔を見せている。「あの、彼女が怪しいのでしょうか。巳の家が僕を……?」 そして殿下はぶるり、と震えて俯いてしまう。 私は考えるよりも早く身体が動き、彼の隣に座りその震える身体にそっと手を触れた。「大丈夫ですよ。ただちょっと気になっただけです。そうですね、私の方でお茶を淹れ変えてきましょう」 そう伝えて私が立ちあがろうとしたときだった。 がしり、と腕が掴まれてしまう。 殿下は必死な様子で私を見つめ、首を横に振った。「すみません、そばに、いてください」 泣きそうな顔で言われてしまい、私は浮かせた腰をゆっくりと椅子に戻した。 なんだろう、胸がわずかに痛む。 誰が敵で誰が味方なのかわからない。いつか自分が殺されるかもしれない。そんな緊張感の中で過ごす重圧はどれほどのものだろうか。 私を睨み付けていたように思うから、この状況だと私の方が危ない、とも思うが。何せ殿下は男子。男を殺すことがどれだけの重罪かはわかるだろうから。「大丈夫ですよ、殿下を狙うほど、愚かではないでしょうから」 すると殿下は私の方を見つめて首を振った。「違います。僕が心配なのは……」 そこで言葉を切り、目を大きく見開いて黙り込んでしまう。 殿下は迷うように視線を動かした。「…

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